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タイトなパイオニア(2)

翔くんとオリンピックキャスターの話

2008年、翔くんが北京オリンピックのメーンキャスターとなった時、正直驚いた。「そこ行かされるかあああ」て思った。だって翔くんはそれほどスポーツに詳しい人じゃないから。もちろん2002のサッカー日韓WCの時は試合会場まで行っているくらい熱狂していたけどそれはあの人サッカー(だけ)は好きだし何より当時リア充大学生真っ最中だからサッカーファンというよりミーハーな「ハイ出た出たリア充」感の方が強かった。早慶戦には野球でもラグビーでも出没してたけどそれはスポーツ観戦が好きっていうより…だし。*1

手越やヒナちゃんや薮がキャスターやりたいって言うのはすーごくよく分かる。日常的に家で観戦してる人だから(あれ、手越さんは家でも見る人だっけ?そういえばサッカー狂なのは知ってるけどどういう風に好きなのか、あんまエピソード知らなかった。村上・薮は中居くんに通じるおたく体質)。で、実際前者2人がキャスターとして採用に至ったのも納得する。タレント力(りょく)が見合ったのはもちろん、知識もある人だから。

でも翔くんはそういうタイプの人ではない。全くおたく体質の真逆をいくクソリア充な性格だし、スポーツを継続的にじっくり見るっていう感じでもない。恐らく知識も弱い。何ならそういうカジュアル路線に行ってしまうのを残念にすら思った。翔くんには硬派なキャスターでいてもらいたい夢があったから。

というのも2006年にキャスターに就任してすぐ2ヶ月も経たないうちに38度線まで行ったのを翔くんらしいな~!と思って見ていて。ちょうどその時アジアツアーがあり韓国に行く予定があったからっていう大前提があるのはもちろんだけど、24歳の青年が、まだまだナメられているアイドルが、まだロケもインタビューもほとんどチャンスをもらえていない借りてきた猫状態の新人が、やっと取材に挑めるってなった時にいきなり38度線という題材を持ってくるという「ならアイドルがどれほどか見せてやんよ!」っぷりったらなかったし内容もアイドルのものとは思えないくらいハードだったし、やっぱり翔くんは9.11によって動かされているんだなと思えたから。だから翔くんがキャスターとして挑むべきはその方向だと思っていたし、スポーツや文化面に行ってしまうのはもったいなく感じた。

だけど、実際にキャスター姿を見たら翔くんとオリンピックの相性はすっごくよかった。それはオリンピックはスポーツの場であるだけではなく、ナショナリズムも絡み合う外交の場だから。そして、その視点でオリンピックを見れるジャニーズキャスター、いや芸能人キャスターはそういないんじゃないかと思うから。(ごめん欲目は認める)

ってぐらい北京の時の取材がすっごくよかった。当時忙しくなり始めていたものの、北京が物理的に近いからか結構な日数北京に滞在していて。開会式から行って、途中一時帰国したもののまたすぐ戻って閉会式までいて開催期間中恐らく8割くらいの日数は北京にいたんじゃねーかってぐらいずっといて(実際どんだけいたかは知らん)、日テレがOAする試合はもちろんしない試合もあっちの会場こっちの会場とそれこそタイトスケジュールで会場にずっといて。もうずっといるから試合の取材はもちろん色んなものを取材してくれたんですね。それこそ翔くん自身初めてのオリンピックでハイだったんだろうけど。

特に各国の取材陣を取材したり、選手村や取材エリアの紹介とかもしていたのが私はすごく面白かった。いや、そういう特集してる番組だって色々あるだろうし別に翔くんが特別なことしたわけじゃないだろうけど、スポーツのみではなく、選手村という小さな空間に世界中の人が集まっていること自体にも興味を持っているのが伝わってすごく翔くんらしい取材だと思った(し、英語使っちゃったりなんかしてガッついてコミュニケーションしようとしてる感とかファンにはたまらんかった)。北京の経済問題、社会問題とか取り上げてたのも印象的だなあ。何度も言うけど私は翔くんのキャスター仕事の中でも北京オリンピックが一番好きだった。今後越すものが現れるか分からないからもう過去形で言っちゃう。それくらい、北京の時の取材は素晴らしかった。*2

 

翔くんはパイオニアなのか?

でね、だから何でこんな話をしているかというとこんなaskを頂いたからなんですけども、

ask.fm


翔くんは本当に「まだ誰もしてないこと」を開拓したのか?答えはたぶん半分正解。翔くんはパイオニアだけど純然たるパイオニアじゃない。強いて言えば、変革者に近いかもしれない。話逸れるけどラップ担当だってあんまり大声でパイオニア!って騒ぐと中居くん慎吾ちゃんごうくんごめん、って思う。メンバー紹介ラップなんて少なくとも『Five True Love』*3からあるしリリックだってメンバー自身が書いていたのに、なぜ翔くんがジャニーズラッパーの祖みたいに見えるんだろう。*4 ただ、毎シングルにラップがあって必ず同じ人が一人でそのパート任されてファン内外からラップ担当って認識されて、っていうのは90年代にはなかったはず。シングル曲に自作リリックを織り込んだり、各グループにラップ担当がいるみたいな風潮になっていったのも翔くん以降の話な気がする。大学進学だってそう、本当はジャニーズ初の大学進学者ではない、デビュー組としては最初だけど。でも、真のパイオニア2人は翔くんの1つ上の学年で、そこには大学行く気満々の翔くんが近くにいた影響は絶対あると思うし、特に高学歴ブームは絶対翔くんがきっかけなのは間違いない。

で、キャスターにしたって元々スポーツ番組にジャニーズを起用する流れがあったから、じゃあ報道番組もやってみようっていうステップアップの発想じゃないかと思う。もし中居くんや太一くんがスポーツキャスターやってなかったら、番組制作側もいきなり翔くんを報道番組で起用しようとは思わなかったかもしれない。だからやっぱり先駆者があっての今だとは思う。ただ、翔くんは確実に今までにはない新しい視点を持ってきているし、翔くんを機にBefore翔くんAfter翔くんで変わっていった物事も多いから、翔くんはパイオニアではないけどやっぱりパイオニアなんだと思います。

 

っていうのがaskの話だけど、翔くんがやっているのは「一般紙」に近い。例えばオリンピックのキャスター、ワールドカップのキャスターっていうのは今後色んなアイドルにチャンスはあると思うけど、オリンピックの取材に行ってその国の経済問題、社会問題をリポートしたりしようとするのは翔くんくらいなんじゃないかと思う(そういう場がある人も少ない)(翔くんにはZEROという受け皿がある)。いや、相葉ちゃんだって世界体操の時に街のリポートもやっていたじゃないか、と自分でツッコむけどじゃああの時の相葉ちゃんのリポートと北京の時の翔くんのリポートとリポート内容の性質が同じかって言うと視点が違う、テンションが違う、議題が違う。いや相葉ちゃんをバカにしてるわけじゃなくてそれは「一般紙」の切り口を任されている(求められている)ジャニーズはまだそういないという意味。*5

だから世界サミットに行ったり(洞爺湖の話ね)ゴルバチョフに話を聞きに行ったりできるのも今のところ翔くんくらいなんじゃないかと思ってる。もちろんそういうところを目指して切り込んでくる後輩がいるならおう来い!やってやれ!って思う(気になるのが、私はevery.を見ていないので小山さんのキャスターぶりはわからない。去年の選挙特番のリポートぶりをみると近いところにいるかもしれないけどそもそも夕方のニュースは情報番組に近い議題も多い。)けど、あまりアイドルでそこを押し出し始めたらグループ活動にも影響してきそうで気楽に踏み込めるネタでもないと思う。あまり踏み込みすぎるのが正解かも分かんない。最近の翔くんのインタビューには「これは僕個人の考えであってグループの総意ではないのですが」と言ったような前提が頻出するのもそういうことなのだろうな。

 

なんとなく次回に続く気がします。前回のはこちら。

malika5.hatenablog.com

 

*1:そういえば2002年にいいとものテレフォンショッキングにハセキョーさんからの紹介で出た時「またPRIDEの会場でお会いしたらよろしくお願いします」みたいなこと言われていたような記憶があるんだがあれはなんだったんだろう。

*2:あれは初めてのオリンピックという本人の浮かれっぷりに加え、今じゃ絶対無理ってくらいたっぷりの時間をかけてもらえたことが勝因だったと思う。だからもう、あの時と同じくらい時間をかけれない限りあれに並ぶ取材は物理的にできないと諦めている。それは今を否定するわけではなく、北京がそれだけ潤沢に時間を投じた丁寧で上質な取材だった。

*3:SMAPのメンバー紹介ラップ。『BIRDMAN〜SMAP 013』(1999)に収録。

*4:翔くん自身、自分が先駆者ではなく先輩だってラップやってる認識はある。2014年3月17日OAのしゃべくり007でもその辺言及してる。

*5:例えば最近思ったけど、先日の戦争特番とZEROで同じ特攻隊の話を取り上げてたけどテンションが全然違って、ZEROの方が見ていて苦しかった。あの特番みたいなのは今後キャスター路線で攻めていきたい人がいれば将来像に据えれそうな雰囲気だったけど、ZEROはやっぱり重たいと思った。ZEROなんて報道番組にしてはカジュアルだけど、それでもやっぱり伝え方が重厚だった。